超高齢社会における歯科衛生士の役割
2020年10月21日
現代の日本で少子高齢化が進んでいることは、皆さんもご存じだと思います。
最近では、超高齢化社会とも呼ばれるようになってきました。
超高齢化社会と呼ばれる状況の中で、高齢者の健康を維持していくための手段のひとつとして、今「口腔ケア」が注目されています。
口腔ケアをする場所として、歯科クリニックや病院といったところがイメージされがちですが、超高齢化社会において幅広い地域住民の健康を守るためには、歯科訪問診療の重要性が増しているのです。
そこで今回は、歯科訪問診療どのようなものであるか、歯科訪問診療において歯科衛生士がどのような役割を果たしているのかということについて、詳しく説明します。
歯科訪問診療とは
歯科訪問診療とは、歯科医師や歯科衛生士が自宅や介護施設、病院などに訪問することで歯科診療所や口腔内のケアを行うことです。
歯科訪問診療は地域住民全員が対象ではなく、身体的、精神的な原因があって通院できない人が対象になります。
そのため、内科的な疾患はあるけれども自力で通院できるという人は、歯科訪問診療の対象にはならないのです。
どのような人たちを対象として歯科訪問診療を行っているかを知っておくと、働いたときのことをイメージしやすくなりますよ!
歯科訪問診療の重要性
日本における死因として肺炎は上位に入っており、年齢を重ねるとともに肺炎が増えてくることを考えると、超高齢化社会において肺炎予防は非常に大切な取り組みです。
高齢者の口腔ケアをおろそかにしてしてしまうと、歯垢や痰がたまって細菌が増えてしまい、肺炎にかかるリスクを高めてしまいます。
歯科訪問診療によって口腔内を清潔な状態に保っておくことで、肺炎にかかる危険性を低くできるため、健康的な暮らしを維持してもらいやすくなるのです。
また、高齢者によっては脳血管疾患などによって口腔機能が低下している人も。
歯科訪問診療では、口腔リハビリも行うことで、口まわりの筋肉や舌の動き、唾液の流れなどを良くして口腔機能を高めるアプローチもしています。
それによって食べ物をかんだり飲み込むといった機能を長く維持して、口から摂取するという楽しみを持ち続けてもらえるのです。
しかし、歯科医院の外来患者数は70歳以降から減ってきて、80歳を過ぎるとさらに早いペースで減るというデータもあり、年齢を重ねるほど高齢者の口腔衛生を守るのが難しくなっています。
そのため、歯科訪問診療を充実させることで、幅広い場所で歯科診療ができる体制づくりが求められています。
国としても、従来の「治す医療」から、よりQOLを重視した「治し・支える医療」へと転換することや、住み慣れた地域で高齢者の生活を支える「地域包括ケアシステム」を整えることを重視しています。
今後は歯科領域でも、歯科衛生士がクリニックや病院を離れて活躍することの重要性が高まっていくでしょう。
歯科訪問診療での歯科衛生士の役割
歯科訪問診療において、歯科衛生士は歯科医師の補助を行うだけでなく、ほかにもさまざまな役割を持っています。
入れ歯の作成や修理、口腔ケア、口腔機能のリハビリテーションも行い、肺炎を予防したり口から食べる楽しみを維持してもらうという役割も果たしています。
また、歯科訪問診療では患者さん本人だけでなく、ご家族やケアマネージャーといった人たちと多くかかわるのも特徴。
口腔ケアや口腔リハビリテーションの方法を、患者さん本人や患者さんにかかわる人たちに伝えていくことも大切なのです。
口腔衛生にかんする正しい知識や技術を身につけてもらうためには、歯科衛生士のコミュニケーション能力が問われます。
現代の超高齢社会において患者さんの口腔衛生を保つために、歯科衛生士として重要な役割だと言えるでしょう。
このように、高齢の患者さんに少しでも長く健康でいてもらうために、歯科衛生士にもできることがたくさんあります。
歯科訪問診療を含めて幅広い場所で活躍できるように、なにわ歯科衛生専門学校では、歯科衛生士を目指したいという方を徹底的にサポートいたします。
ぜひ、なにわ歯科衛生専門学校で憧れの歯科衛生士を目指してください。